とっとこ文化財 今回は…満池谷層の植物遺体包含層
このコーナーでは、西宮にある文化財を紹介します
地球の息吹 感じるスポット
地球は、悠久の時の中で「気候変動」と「地殻変動」を繰り返してきました。その両方を目の当たりにできる県指定の天然記念物があります。大社中学校の北側に位置する「満池谷層の植物遺体包含層」です。
満池谷層には2つの包含層があります。ひとつは約50万年前の地層で、カムチャッカ半島等に分布するグイマツ(ラリックス)など寒地性の植物遺体が含まれています。このことから当時が氷河期であったことが推定されます。もうひとつは、約30万年前の地層で、アデクなどの植物遺体が含まれています。これらは亜熱帯地域に分布する植物で、当時が現在よりも温暖な気候であったことがわかります。このように、包含層から、はるか昔の地球の気候変動を読み取ることができます。
また、満池谷層の大部分は土砂や粘土が海底で堆積(たいせき)した堆積層です
一方、包含層は陸上や浅瀬で形成されたもので、堆積層に挟まれて帯状に黒く見えています。
包含層が堆積層に挟まれていることは、西宮一帯が陸地になったり、海底に沈んだりと地殻変動を繰り返してきた証(あかし)なのです。