多文化共生を考える
『人権文化の花咲くまち 西宮を目指して』
多様な視点から学ぼう!
多様な光に満ちた花火
東京で暮らす、あるネパール人の家族の物語。一家の父は留学生として日本の大学で学んだあと、在日の外資企業に就職した。妻とまだ幼児であった娘を呼び寄せ一家3人の日本生活が始まった。
物心がついた時、娘は日本の幼稚園にいた。「どうして周りの人と違うの?」「ネパール人ってどういう事?」。子供は親を選べないとはよく言われるが、生まれる国も選べない。自身の決断で異国へ移住する親とは違い、子供は気がついたらその場所にいる。同世代の日本の子供達に疑問をなげかけられるが、その問いへの答えを今でも彼女は探している。
時がたち、娘は東京のネパール系住民を中心としたインターナショナルスクールに通っていた。この学校では、約7歳~18歳の児童が通っており、彼らはみんな両親の仕事の事情で来日し、日本語をうまく話せる者からほとんど日本語を知らぬ者まで多様だ。彼らの生活のほとんどはネパール人同士で成立するため、日本人の知人や友人をもつ者は少ない。まさに東京のど真ん中に存在する小さなネパールだ。
「日本や日本の生活についてどう思うか?」という私の質問に、「清潔で快適、そして治安の良さを実感している」「言葉の壁に阻まれて社会に溶け込むのが難しい」「外国人に不慣れな日本人も多いため、距離を感じる」という意見が多くみられた。
そんな中、日本人の友人ができたという児童が数名いた。「公園で遊んでいたら仲良くなった」「サッカーをしていたら友達になった」。日本人と交流できている者に共通することは、遊びやスポーツなど、非言語のコミュニケーションを通して友人を作っていたことだ。「お互いの国のお祭りを一緒にやれば距離が縮むはずだ」と提案した児童もいた。
お祭りは世界中にあり、いろいろな意味や役割がある。その役割の1つは「地域の人々を一堂に集め、交流を促すこと」で、日常生活で感じる、不安や気まずさを取り去ってくれる力がある。
多種多様な人が集い、作り上げるお祭りの夜空は、希望という花火によって彩られるかもしれない。
漫画家・タレント
星野 ルネさん
1984年カメルーン生まれ。
4歳の時に母の結婚に伴い来日し、姫路市で育つ。2018年8月に『まんが アフリカ少年が日本で育った結果』(毎日新聞出版)として出版。毎日小学生新聞にて「アフリカ少年!毎日が冒険」連載中
【問合せ】秘書課(0798・35・3459)