ゆかりの人に聞く西宮の魅力 小川洋子さん

写真:小川洋子さん
作家

小川 洋子(おがわ ようこ)さん


岡山市生まれ。市内在住。主な著書は「密やかな結晶」、「博士の愛した数式」、「ミーナの行進」、「ことり」など。最近のマイブームはミュージカルの観劇

芸術に出会えるまち「西宮」

西宮で暮らすようになって十二年になります。小説を書く生活の中で、最大の贅沢(ぜいたく)は、県立芸術文化センターでお芝居を見たり、音楽を楽しんだりすることです。
中村恩恵さんと首藤康之さんのコンテンポラリーダンス『ソネット』。ホロコーストの無残さを八千草薫さんが演じた『これはあなたのもの』。父の死体を背負ってさまよう男のすさまじさに圧倒された『岸 リトラル』。朗読の魅力を改めて感じさせてくれた『リーディング・シアター レイモンド・カーヴァーの世界』……。印象に残る公演をあげていけば、きりがありません。
写真:県立芸術文化センター
観劇や音楽鑑賞に訪れる
県立芸術文化センター
電車に乗ってすぐのところで、生の人間が生み出す、本物の芸術に出会える。これほどの喜びは他にありません。公演が終わった後、興奮を鎮めるのに適したおいしいお店が、周囲にたくさんあるのも大切なポイントです。あるいは、夙川まで出て、川沿いの道を一人歩きながら、感動をかみしめるのもまた、私の愛するパターンの一つです。
今、新型コロナウイルスによって、舞台芸術は困難な状況に陥っています。いつか再び、何の心配もなく、自由に劇場へ足を運べる日が戻ってくるのを、ただひたすら祈っています。

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