ちょっとで変わる暮らしやすさ
令和3年(2021年)に障害者差別解消法が改正され、事業者による障害のある人への「合理的配慮の提供」が、今年の4月1日から義務化されます。誰もが暮らしやすいまちづくりは難しいことではありません。"ちょっと"意識した取組を行う企業の事例を紹介します。
ちょっと意識しています!
関西みらい銀行西宮支店を取材
昨年6月に、あいサポーター養成講座(以下、講座)を受講し、「あいサポート企業」に認定された関西みらい銀行西宮支店。講座を受講したきっかけや受講後の変化について、支店長の影山さんに聞きました。
なぜ「あいサポーター養成講座」を受講されたのですか?
関西みらい銀行西宮支店では、「金融+で、未来をプラスに。」をグループパーパス(※)に掲げており、本来の金融業務に加えて、地域の皆さんの未来を豊かにする、役に立てるような取組を模索していました。講座は、市役所への問合せで知りましたが、我々にとっても大事なことであると判断し、支店員全員で受講することにしました。
(※)企業の目的や指針、存在意義を表す言葉
まずは「知る」ことが大事
講座はいかがでしたか?
受講の様子
講座のメッセンジャー(講師)の玉木さんは、肢体に障害のある車いす利用者で、活動的に多方面で活躍している人でした。講座では、障害のある当事者視点からの話や「障害の有無にかかわらず一人一人違って当然、まずは何に困っているのかを知ろうとすることが大事」といったことを教えてもらいました。直接話を聞くことで、障害のある人に対して何も難しく考えることはないと気付きました。玉木さんの人柄もあり、近い距離感で学ぶことができました。
身構えない自然な対応に
受講後に感じる変化はありますか?
取材の様子
以前は、障害のある利用者へ対応するときには、何か特別な対応をしなければならないと身構える、そんな意識が潜在的にあったのではと思います。受講後は、変に意識するのではなく、他の利用者と同じように要望を聞き取り対応する、そんな当たり前のことが自然にできるようになったと思います。
「できることをちょっとずつ」が暮らしやすい社会へのキーワード
4月から改正法が施行されますね
認定証を持つ影山支店長
法の改正は行内でも周知がありますが、事前に講座を受けたことで、知識としてだけでなく現場での実践につながっています。また、ちょっとの工夫が、障害のある人への接し方の壁や障害のある人が暮らしの中で感じる暮らしにくさを減らすのだと実感しています。このような考え方や取組が社会全体に広まれば、より良い社会の実現に近づくと思います。
市民の皆さんと接する機会の多い銀行だからできることを、これからも実践していこうと思います。
行内には工夫がいっぱい!
ATMコーナーに
点字ブロック・机を設置。
封筒は手前の低い位置に
入口に一番近い待合席を
優先シートに
窓口に、聴覚障害のある人への
メッセージ
あいサポーター養成講座
ぜひ受講を!
障害のある人やその親などが、企業の従業員や団体、個人を対象に実施しており、障害への理解を深められる講座。あいサポート企業の認定も。受講料無料。詳しくは西宮市社会福祉協議会(0798・23・1142)へ確認を
市ホームページ あいサポート運動
事業者へ物品購入や改修費用を助成
ぜひ活用を!
市は、障害のある人の社会参加を進めるため、簡易スロープの設置・点字メニューの作成・筆談ボードの購入などを行う費用の一部を助成しています。助成を受けるためには、事前の申請が必要です。詳しくは市のホームページで確認を
市ホームページ 合理的配慮の提供支援に係る助成金事業
ちょっとの工夫がうれしい
皆さんの"ちょっと"を
お待ちしています!
あいサポーター養成講座メッセンジャー玉木さん
障害のある人の中には、行きたい場所ややりたいことがあっても最初から諦めてしまったり、暮らしの中に障壁を感じてしまう人がたくさんいます。しかし、その都度相談し、話し合いをすれば「ちょっとした工夫」で実現できることがあるかもしれません。
「合理的配慮の提供」とは、誰もが暮らしやすい社会を実現するための工夫です。障害のある人と事業者が対話を通して、何かできることがないかを考えていくことが大切です。障害の有無に関係なく、相手の立場に立って考えて行動することで、おのずと誰もが暮らしやすい社会になっていくのではないでしょうか。
今回の法改正をきっかけに、一人一人が"誰もが暮らしやすい社会"について考える機会が増え、その人らしい暮らしを実現できる社会になるとうれしいです。
市は、令和2年(2020年)から「西宮市障害者共生条例」を制定し、誰もが暮らしやすいまちづくりに取り組んでいます。詳しくはホームページで確認を
【市ホームページ】障害を理由とする差別の解消について
【問合せ】障害福祉課(0798・35・3147)