省エネ行動モニター事業の結果について
更新日:2023年4月1日
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目次
背景
2016年(平成28年)4月、電力小売全面自由化となったことにより、電力市場に多数の小売電気事業者が参入しました。その結果、「第二次西宮市地球温暖化対策実行計画(区域施策編)」の目標設定に必要となる市域の電力使用量の把握が困難となり、温室効果ガス削減目標の算出に影響が出ました。
そこで本市では市域(家庭部門)の電力使用量の把握及び市民の省エネに対する意識向上を目的として本事業を実施し、得られた回答をもとに専門家と共に集計・分析を行うこととなりました。
事業の概要
- 集計・分析協力:関西大学社会資本計画研究室
- 実施年度:アンケート配布/2019年度、アンケート回収・分析/2020年度、計画への反映/2021年度
- 回答人数:452名
- アンケート内容:2018年4月1日から2020年3月31日までの電気・ガス使用量及び省エネ行動の実施有無を回答
集計
回答総数
世帯人数 | 1人 | 2人 | 3人 | 4人 | 5人以上 | 無記入 | 総計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
回答数 | 47 | 139 | 103 | 111 | 47 | 5 | 452 |
割合 | 10.5% | 31.1% | 23.0% | 24.8% | 10.5% | - | 100% |
※四捨五入を行っている為、合計が一致しない場合がございます。
住宅種別と太陽光発電設備及びエネファームの設備有無
世帯人数 | 1人 | 2人 | 3人 | 4人 | 5人以上 | 総計 |
---|---|---|---|---|---|---|
戸建て | 28.3% | 53.6% | 59.2% | 64.5% | 83.0% | 58.1% |
マンション | 71.7% | 46.4% | 40.8% | 35.5% | 17.0% | 41.9% |
設備 | 設置割合 |
---|---|
太陽光発電設備 | 12% |
エネファーム(脚注1) | 6.2% |
脚注1:エネファーム・・・家庭用燃料電池。ガスを用いて水素と酸素の化学反応により発電を行う機器。詳細については、こちら(一般社団法人燃料電池普及促進協会HP)(外部サイト)
省エネルギー設備の有無による電気使用量の違い
1.太陽光発電設備の有無による電気使用量の比較
世帯人数が3人以下の場合、太陽光発電設備の有る世帯では無い世帯と比較して電気使用量が20%~40%程度の減少傾向が見られましたが、全世帯の比較では太陽光発電設備の有無による電気使用量の差は認められませんでした。(グラフ1)
グラフ1.太陽光発電設備の有無による電気使用量の違い
2.エネファームの有無による電気・ガス使用量の違い
エネファームは機器の特性上、設備の有る世帯では無い世帯と比較してガスの使用量が増加しています(グラフ2)が、一方で、電気使用量は減少しており、これは世帯人数に関係なく同じ傾向が見られます(グラフ3)。
グラフ2.エネファーム導入有無によるガス使用量の違い
グラフ3.エネファームの導入有無による電気使用量の違い
省エネ行動の項目別実施率
回答によって得られた、項目別の省エネ行動実施率は以下(表1)のとおりとなりました。
風呂や自動車に関する項目では実施率が30%台に留まるものがあるなか、「冷暖房の必要のないときは消すように気をつける」「必要のない照明はこまめに消す」では実施率が80%を超えるものも見られました。
しかしながら、家電製品全般における「使わないときはコンセントを抜き待機電力を少なくする」の項目では実施率が30%台に留まっています。
省エネ行動の実施項目 | 実施率 |
---|---|
空調 | |
1.暖房は20℃、冷房は28℃を目安に温度設定を行う | 51% |
2.冷暖房の必要のないときは消すように気を付ける | 88% |
3.カーテンを活用し、窓からの温度の出入りを抑制する | 71% |
照明・テレビ | |
4.必要のない照明はこまめに消す | 88% |
5.照明をLEDに取り替える | 63% |
6.他の用事を行うときは、テレビをつけっぱなしにしない | 61% |
台所 | |
7.冷蔵庫の中は、ものを詰め込み過ぎないようにする | 51% |
8.冷蔵庫は壁から適度な間隔を空けて設置する | 54% |
9.冷蔵庫の開閉は少なくし、長時間開けないようにする | 69% |
10.長時間使用しない電気ポットのコンセントは抜く | 46% |
風呂・トイレ・洗濯 | |
11.風呂は間隔を空けずに入り、追い炊きはしない | 34% |
12.シャワーのお湯を出しっぱなしにしない | 66% |
13.温水洗浄便座は温度設定をこまめに調整し、使わないときはふたを閉める | 63% |
14.洗濯するときはまとめて洗う | 79% |
自動車 | |
15.発進するときは、アクセルをゆっくり踏む | 56% |
16.運転時は、加減速の少ない運転を心がける | 54% |
17.アイドリングはできるだけしないように心がける | 51% |
18.できるだけ車を使わずに、自転車や公共交通機関を利用する | 34% |
家電製品全般 | |
19.使わないときはコンセントを抜き、待機電力を少なくする | 36% |
注釈:赤字は比較的実施率の高かった取り組み、緑字は比較的実施率の低かった取り組み
分析
本調査の集計結果から、電気使用量の削減効果について分析を行ったところ、世帯人数及び住宅種別で効果に差異はあるものの、以下の3つの省エネ行動が有意にかつ、効果的に電気使用量の削減に寄与することが分かりました。グラフ4から6はそれぞれの省エネ行動による月別電気使用量の差を表します。
使用量の削減が期待できる省エネ行動(本調査結果より)
- 暖房は20℃、冷房は28℃を目安に温度設定を行う(グラフ4)
- 必要のない照明はこまめに消す(グラフ5)
- 使わないときはコンセントを抜き、待機電力を少なくする(グラフ6)
グラフ4
グラフ5
グラフ6
省エネ行動によるエネルギーの削減ポテンシャルの分類
省エネ行動別実施率と項目別エネルギー削減量を集計すると以下(グラフ7参照)のとおり分類することができます。
- 実施率が低いがエネルギー削減率は高い
- 実施率が低くエネルギー削減率も低い
- 実施率が高くエネルギー削減率も高い
- 実施率が高くエネルギー削減率は低い
省エネ行動によるエネルギー削減を図る際には実施率が低いもの(削減ポテンシャルの大きい項目)をできる限り多くの人々が取り組むことで、市域全体で大きな効果が見込めます。
グラフ7.省エネ行動のエネルギー削減ポテンシャルの分類
まとめ
ア 省エネ設備の有無によるエネルギー消費量の差
- 省エネ設備の普及率は今回のアンケート回答ベースで太陽光発電設備12%、エネファーム6.2%だった。
- 太陽光発電設備の導入により世帯人数の少ない世帯では電気使用量が顕著に減少するが、世帯人数の多い世帯では、むしろ電気使用量が増加する場合がある。
イ 2018年度、2019年度の世帯人数と住宅種別による電気およびガス使用量の傾向
- 世帯当たり人数が多くなるほど電気・ガスともに使用量は大きくなるが、3人世帯と4人世帯に統計上でそれほど大きな差はみられない。
- 戸建てはマンションよりも通年にわたって使用量が多い。
ウ 省エネの取組み状況
- 最も実施率が高い取組は
- 「冷暖房の必要のないときは消すように気をつける」88%
- 「必要のない照明はこまめに消す」88%
- 最も実施率が低い取組は
- 「風呂は間隔を空けずに入り、追い炊きはしない」34%
報告書
調査結果を踏まえた温室効果ガス削減に向けた今後の取り組みの方向性
平成30年度の本市における温室効果ガスは約34%が家庭から排出されています。この割合は国(約17%)や県(約10%)と比較しても高く、本市が住宅都市であることの表れともいえます。つまり、本市の地球温暖化対策においては、家庭での省エネ行動の普及促進は極めて重要です。
今後、本市では今回の調査を参考に、ご家庭で気軽に楽しく取り組むことのできるような参加型の省エネ事業を実施するなど、新たなライフスタイルの定着を目指して施策を推進します。
第二次西宮市地球温暖化対策実行計画(区域施策編)への反映について
「第二次西宮市地球温暖化対策実行計画(区域施策編)」における目標設定に伴い、環境計画推進パートナーシップ会議において市民が実感を持てる目標を設定すべきとの意見が出されたことから、省エネ行動の徹底による二酸化炭素(CO2)の削減ポテンシャルを推計したうえで国・県の実施する施策による削減効果との重複や本事業の集計結果及び本市全体統計との差異などを考慮しつつ、環境計画推進パートナーシップ会議において議論と検討を行いました。
市域の | 【目標】 | 【指標】 |
---|---|---|
192万t-CO2 | -35%以上 | -10%以上 |
省エネ行動チェックツール
省エネ行動モニター事業によって得られた数値を元に、市民向け省エネ行動チェックツールをご用意いたしました。
電気使用量を入力するだけで、ご自身が省エネ行動にどれほど取り組めているのかの目安を知ることができます。
ぜひ、ご自宅の電気使用量を確認してみてください!
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お問い合わせ先
環境企画課(ゼロカーボンシティ担当)
西宮市六湛寺町10番3号
電話番号:0798-35-3818