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阪神甲子園球場の土と芝を守り続ける<阪神園芸・金沢健児さんに聞く>

更新日:2018年5月16日

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グラウンドをバックに「阪神園芸」甲子園施設部長の金沢健児さん
「阪神園芸」甲子園施設部長の金沢健児さん


阪神園芸は土と芝、そして緑化のプロフェッショナル

阪神甲子園球場

グラウンド整備
阪神園芸による懸命なグラウンド整備

高校野球やプロ野球はもちろんのこと、甲子園ボウルをはじめとしたさまざまな野球以外のイベントが開催される阪神甲子園球場。高校球児にとって夢の舞台でもあるこの球場で、グラウンドの整備や管理を担当するのが阪神園芸株式会社です。高校野球やプロ野球の試合前や試合中、無駄のない動きで美しいグラウンドを創りあげていく様子をご覧になったことがある方も多いでしょう。

阪神甲子園球場

阪神園芸グラウンドカー
グラウンドを整備する「阪神園芸グラウンドカー」

阪神園芸は、阪神パークの園芸部を母体とする造園土木や植栽管理などの会社として誕生し、現在も多くの教育施設や商業施設などの緑化を担当しています。球場においては土と芝のプロとして、球場外では緑化のプロとして活動しています。
今回は、阪神甲子園球場のグラウンド整備責任者でもある阪神園芸株式会社の甲子園施設部長・金沢健児さんにお話をうかがいました。

グラウンドキーパーにとって、雨は最大の敵であり、最高の味方でもある。

「阪神園芸」金沢健児さん
インタビューに答える「阪神園芸」金沢健児さん

金沢さんは入社して30年、ずっと阪神甲子園球場のグラウンド整備に携わってきました。土の部分は、1月から2月にかけてグラウンドを畑のように掘り起こして『耕す』作業が最も重要だそう。

阪神園芸グラウンドカー

グラウンド整備の様子
熱戦を支える匠の技

「1年間グラウンドの下の方で眠っていた土を空気に触れさせることで、土を生き返らせます。そこから先は人の手を掛けるのをいかに最低限にするかが勝負。土そのものの重みと自然に降る雨の水を最大限に活かして、再びグラウンドとして使えるように締め固めていくんです」
日照時間や降水量、風などによって整備時間や整備方法が変わるため、その日の天候やグラウンド状況を見ながら作業内容を決めていきます。もちろんマニュアルなんてありません。

「阪神園芸」金沢健児さん
天候やグラウンドの状態を見ながら最高の状態に

「すべての判断は人間の感覚だけが頼り。阪神タイガースの甲子園球場での開幕戦から逆算し、開幕日に最高の状態となるようグラウンドを仕上げていきます。プロ野球オープン戦の頃は、実はまだグラウンドもオープン戦の状態なんですよ」グラウンド整備のプロフェッショナルである金沢さんを最も悩ませる存在、それは『試合中の雨』だそう。

阪神甲子園球場

「しかし、グラウンドを良い状態にするには雨水が最高なんです。ですから試合がない日の雨はすごく嬉しい。ホースでの散水では不可能なほど地中深くまで水を含ませることができ、ボールがイレギュラーしにくいグラウンドが作りやすくなるんです。雨は最大の敵でもあり、最高の味方でもあるんですよ」

夢は自宅のテレビで高校野球中継を一日中観ること

「阪神園芸」金沢健児さん
グラウンドをやさしく見つめる金沢さん

2018年、夏の高校野球大会が第100回大会を迎えます。第70回大会から夏の高校野球のグラウンド整備に取り組みながら、高校球児を見守り続けてきた金沢さん。高校野球はプロ野球とは異なる独特の雰囲気があるそうです。
「日本に生まれて野球をやる子どもたちのほぼ100%が、甲子園球場でのプレーを夢見ますよね。そんな憧れの甲子園だけに、球児からは緊張感や初々しさ、若々しさがヒシヒシと伝わってくるんですよ」

阪神甲子園球場

近年、高校野球の人気が再び高まっていると感じます、と金沢さん。
「私の夢は、自宅のテレビで高校野球中継を一日中観ること。実現はまだもう少し先になりそうですが(笑)」

NISHINOMIYA COMMONS編集部

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