【とおかし図鑑】Vol.03「千鳥屋宗家」 ふたを開ければ思わず笑顔に。幸せを運ぶ可愛い"コンビ"
更新日:2021年1月29日
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千鳥屋宗家 西宮本店(六湛寺町)の「えべっさん・鯛」
「とおかし」とは、西宮神社の十日参り(4月から翌年3月)の際に配られるお菓子のこと(※1月は除く)。
2017年度から始まった「とおかしプロジェクト」によって、西宮市内の11の和菓子店が月替りでとおかしの制作を担当することになりました。それぞれのとおかしは、毎月10日限定で各店舗にて販売されています。(※詳しくは こちら)
この連載「とおかし図鑑」では、市野亜由美(ライター/西宮在住)が、それぞれのお菓子と和菓子店の魅力に迫ります!
第3回は、阪神西宮駅のほど近くにある、「千鳥屋宗家 西宮本店」に伺いました。同店の「えべっさん・鯛」は今年度最初の十日参り、2018年4月10日に配布。今年度のとおかしのスタートを飾りました。
創業は寛永7年。400年近い歴史を守るお店
看板や日本家屋のような店構えに趣を感じます
西宮に住んでいたら一度は「千鳥屋宗家」のお菓子を味わったことがあるのでは(いやいや、もっとあるという人も少なくないでしょう)。
こちらの創業は寛永7年(1630年)、なんと400年近くもの歴史があるお店なのです。
ユニークなのは、その当時、ポルトガルから伝来した焼菓子の製法を守り、独自の創案を加えて和菓子を作り続けてこられたこと。 代表銘菓の「本千鳥 千鳥饅頭」をはじめ、「丸房露(まるぼうろ)」「かすていら」など、どこか懐かしく、やさしい味わいは大切に受け継がれてきたといいます。
開放感のある店内に多くのお菓子が並ぶ
店頭のガラスケースには、定番の丸房露をはじめ、目移りするほど数多くのお菓子が並んでいます。天井が高く、開放感がある広い店内。その奥には、喫茶スペースがあり、和菓子以外に洋菓子をいただくこともできます。この日もたくさんのお客さんで賑わっていました。
2度目のとおかしプロジェクト参加。店内の専用コーナーにも注目を
「とおかし」専用の販売コーナーが設けられ、目を引きます
昨年に引き続いてのとおかしプロジェクトへの参加。
「西宮神社さんには、もともとお正月にお菓子を献上したりもしていましたが、神社さんに対してできることがあれば何でもお手伝いしたい、お菓子を通じて地域に貢献したいという思いがありました」と、同店・営業係長の林 益久(ますひさ)さん。
毎月10日には、とおかしのフラッグを飾った特設の販売コーナーを設置するので、たまたま来店した常連さんなどから「これは何?」と聞かれることもあるそう。
「そんなときはパンフレットをお渡しして、ご案内しています。最近は、『縁起物だから友だちにもあげたい』とおっしゃって、遠方から来てくださる方もいらっしゃるんですよ」
千鳥屋宗家の中でも、この「とおかし」を扱うのは西宮本店のみ。通常20から30個を用意し、予約にも対応しているそうです。
おだやかな口調で話してくださる林さん
親しみやすさを感じるデザイン
「昨年度、とおかしを作ることが決まったとき、社員みんなでデザインを一生懸命考えました。お子さんから高齢の方まで楽しめるものにしたいと思い、『見てすぐわかる』『親しみやすい』をキーワードに試作を重ね、好評だったデザインを選びました」と語る林さん。
そうして生まれた「えべっさん・鯛」は、白あんに砂糖、山芋などのつなぎを混ぜた「練り切り」をベースにしたお菓子。中にはこしあんが入っています。
「小豆やほかの材料も吟味したものを使い、甘すぎず、お茶ともよく合うように作っています」
「わ~、えべっさんだぁ!」思わずにっこり。鯛のとぼけた表情がこれまた可愛いです
えべっさんの可愛らしさは、そのカラフルさによるところも大。
「練り切りでこれだけパーツが多いのも珍しいかもしれませんが、たくさんの色を使いたかったのでこのデザインに決まりました。ヒゲは練り切りの生地に食用炭を混ぜて作っています。はじめのうちは顔だけという案もありましたが、胴も付けることになり、手には商売繁盛の笹を持たせました。耳も福耳なんです」
なんと!可愛い上に縁起もいいのです。数が多いときは職人さんが手分けして作るので、「作る人によって、ちょっとお顔立ちが違うときもあったり(笑)」とのこと。
お客さんからは時々、「可愛くて食べられない」という声が寄せられることもあるそうです。なるほど、同感です。
「お菓子で少しでも幸せになってもらえればうれしいです」と林さん。そんな思いが込められた、えべっさんと鯛の可愛いコンビは、これからも多くの人に笑顔を運んでくれそうです。
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「毎月十日はとおかしの日」。西宮のスペシャルな銘菓を楽しめる特別な機会をお楽しみください。
※11店舗の「とおかし」は、こちらの紹介リーフレット(PDF:2,582KB)でご覧いただけます。
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- 市野亜由美
西宮市在住のライター。"どこへでも実際に行ってみたい派"です。読者に「私も!」と思ってもらえるような、再現性のある情報を届けられるとうれしいです。好きなジャンルは、食べものやアート
NISHINOMIYA COMMONS編集部
ライター・市野亜由美
千鳥屋宗家西宮店のマーカーリスト
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とおかしプロジェクトについてはこちら 西宮和菓子ブランド発信事業実行委員会HP(外部サイト)
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