多文化共生社会を考える
「気づき行動する市民へ」 大手前大学非常勤講師 岩山仁
みなさん、これまでに「多文化共生」という言葉を聞かれたことがあったでしょうか?一般的にはまだあまりなじみのない言葉かもしれませんね。漢字を見てもらうと、なんとなくその意味はおわかりいただけるかと思いますが、「文化」というと、これも一般的には何か社会的な大きなくくりで、自分の暮らしとは直接関係無いような感じもするかもしれません。
しかし、日常の暮らしはもちろんのこと、考え方や価値観に至るまで、私たちは知らず知らずのうちにさまざまな文化的影響を受けて生きていて、その影響によるいろんな「常識」や「あたりまえ」があります。でもその「常識」や「あたりまえ」はすべての人にとってそうでしょうか?もちろん、それはその人の育った環境やそれまでの経験によって大きく変わりますね。
しかし、私たちは往々にして、無意識のうちに自分の「あたりまえ」をさまざまなことに当てはめて相手のすることを判断し、時には腹を立てたり批判したりしてしまうことがあるのではないでしょうか?
でも実は、何かに対して腹を立てたり、おかしいと感じるということは、すべてもともと自分が持っている「ルール」に当てはまらなかった、ということに過ぎません。
ですから、相手のすることを「おかしい」「間違っている」と腹を立てたり批判したりする前に、「どうしてこの人はこんなことをするのか?」「こんなことを言うのか?」と、ちょっと「間」をとって考えてみることが大切です。すると、そこにはお互いに考え方や「常識」などの何らかの「違い」があるだけで、その「違い」がお互いの理解を阻んでいるだけかもしれません。
まずはお互いの「違い」に気づき、それに対して単に違和感を覚えたり、腹を立てたりするのではなく、お互いにそれまでの「常識」「ルール」のカベを外してみる。そして、お互いに幸せな気持ちになれるようにするにはどうしたら良いか、考えて、行動してみることが何より大切なのではないでしょうか。
8月20日(火)に開催される「人権を考える市民のつどい」もそんなことを考える良いきっかけを頂けると思いますので、ぜひご参加ください。