多文化共生社会を考える
「好き嫌い」って? 大手前大学非常勤講師 岩山仁
皆さんは食べ物の好き嫌いはありますか?誰にも好みはありますよね。
では、なぜそれが好きなのかと聞かれたら何と答えますか?
「好きなものは好き」だし、そんなことに理由はないと思われるかもしれませんね。しかし、その好みはなぜそうなったのでしょうか?苦手なものがある人も、わざわざ苦手なものを作ったわけではないはずです。
実は、そのような食べ物の好みやものごとに対する価値観、常識、自分の性格に至るまで、子供の頃に育った環境、経験、親をはじめとする周りからの影響が大きいのです。最近はマスメディアの影響もとても大きいと言えるでしょう。
私たちはこの世に生を受けてから、周りからさまざまな影響を受け、この社会で生きるために必要な知識や感覚を身につけていきます。そして、そのようにして作られた「データベース」をもとにあらゆることの解釈をし、判断をして、行動を選択しますが、その「データベース」のほとんどが幼少期にプログラムされています。
ですから、あえて意識して視野を広げたり、客観的な視点を養ったりして、さまざまな価値観を受け入れるようにしないと、「井の中」で周りからの影響でたまたま刷り込まれた好みや価値観をもとに、ある意味で他の誰かに造られた人生を生きることになってしまいますし、その価値観が偏ったものであれば、自分の価値観に合わないものに対して偏見を持ったり、拒絶したり、それが差別につながったりしてしまうことにもなります。
逆に、常に客観的な視点としなやかな心を持って、異なる価値観を認め、さらにはそれを楽しむことができれば、人生も社会も、もっともっと幸せに、豊かにすることができるのではないでしょうか?
2月8日(日)に開催される「西宮国際交流デー」は、楽しみながら視野を広げ、異なる文化や価値観を知る良い機会になると思いますので、ぜひご参加いただければと思います。