とっとこ文化財 今回は…教育委員会前のクスノキ
このコーナーでは、西宮にある文化財を紹介します
六湛寺の名残
教育委員会庁舎前に立つ、高さ約20メートルの大きなクスノキを知っていますか。樹齢約300年、江戸時代から自らがそびえる場所、西宮町(現在は六湛寺町)の歴史を見てきました。
現在、西宮市役所が建つ場所には、その昔、六湛寺という禅宗の大寺があり、5つの塔頭(禅宗の高僧の寺院)が支えていました。現在も残っている塔頭は、茂松禅寺と如意寺(現在は北名次町に移転)です。敷地内には墓があったり木々が密集していたため、「六湛寺の森」と呼ばれていました。子どもたちからは、森が薄暗いといって怖がられていたとも言われています。時代の流れ六湛寺の名残とともに六湛寺は衰退していき、森の木々も少なくなりました。
その後、市役所本庁舎と教育委員会庁舎が建ち、この近辺では教育委員会庁舎前のクスノキのみが残存し、六湛寺の森の名残となっています。
この歴史的背景を持つ大きなクスノキは、樹勢が極めて強健かつ立派であり、今後長期に渡って生存しうるものと考えられ、平成3年に市の天然記念物に指定されました。また、江戸時代のこの辺りに六湛寺が存在したことを示す物的な証拠であるということも天然記念物に指定された理由の一つかもしれません