【消防局】ウー・カン消防通信!~救急出動件数のお話~
更新日:2024年9月5日
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第11回
皆さん、令和4年の消防年報が公表されました!
この消防年報は、消防局の1年間の動きを数値によって客観的に示す統計資料です。
統計資料は傾向や性質を数量的に把握することができ、また、あらゆる角度から分析を加えることで、様々な場面で活用することができるため消防局ではとても大切にしています!
さて、今回はこの消防局の1年間の動きのうち、増加を続ける救急出動件数に注目しながら、ウーちゃん・カンちゃんと一緒に救急出動について考えてみましょう!
救急出動件数の推移
令和4年中の救急出動件数は過去最高を更新し、26,468件となりました。この年間救急出動件数について、過去の統計資料とあわせて確認すると、すでにコロナ禍以前の令和元年時点で、20年前(平成10年)と比較して2倍以上に増加していたことがわかります。また、令和5年に入ってからも救急出動件数はさらに伸び続けており、上半期(1月~6月)終了時点で、前年同時期と比較し約1,000件を上回る増加ペースとなっています。
当市では、1分1秒でも早く傷病者のもとに救急隊を向かわせるため、救急現場に最も近い位置の救急隊を優先して出動させる体制としています。
このため、救急隊ごとの救急出動件数の差は、配置された消防署の位置や、地域の実情などの影響を受けることになります。
例えば、市内南部市街地の中心に位置する、西宮消防署に配置された救急隊の令和4年中の年間救急出動件数は、6,998件です。
西宮消防署には救急隊が2隊配置されていますので、1隊あたり3,499件になります。
令和4年中の救急隊別の出動状況は次のとおりです。
救急隊の現場滞在時間
統計資料からは、救急出動件数の増加と同じように、救急隊の現場滞在時間も伸びてきていることがわかります。救急隊は救急現場で、傷病者を観察し、症状や重症度、緊急度を判断したのち、最も適した医療機関を選んで搬送の可否を相談、交渉します。この時、血圧などの数値だけでは示すことができない傷病者の状態や緊迫感を言葉でしっかりと伝え、医療機関と共有することがとても重要なので、救急隊が医療機関と直接相談、交渉することになります。こうした医療機関との交渉を経て、傷病者の搬送先を決定していくのですが、逆に言えば、救急隊は、搬送先の医療機関が決定していないと、救急現場から出発することができません。
カンちゃんの言う「救急搬送困難事案」とは、救急隊による「医療機関への受入れ照会回数4回以上」かつ「現場滞在時間30分以上」の事案を言います。
要因は様々ですが、「救急搬送困難事案」に限らず、救急隊の現場滞在時間は、確かに伸びてきています。
過去5年間の覚知から病院収容までの所要時間の平均は次のとおりです。
コロナ禍を経て、市民の皆さんの救急に対する関心が、ますます高まっていることを実感しています。
一方で、統計資料から今後も増加を続けるであろう救急出動件数の推移をみると、少子高齢化が進む中、救急の需要増と相対的な供給減によって、現在の救急搬送体制の維持が今後ますます難しくなっていくことも容易に予想することができます。
救急隊の過酷な勤務実態に対し、ウーちゃん・カンちゃんはとても心配してくれましたが、救急隊員は弱音を吐くことはありません!
要請がある限りすぐに傷病者のもとへ駆け付けます!
しかし、救急隊員の負担増は、直接、市民の皆さんの不利益につながります。
何より救急隊員は救急車の利用が増えることで、1分1秒を争う事案で救急車の到着が遅れたり、搬送先が決まるまでの時間が伸びたりして、救えるはずの命が救えなくなる、本当に救急車を必要としている人のもとへ救急車を向かわせることができなくなる可能性があることに、心を痛めています。