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第46回 「 選択性緘黙(場面緘黙)の特徴と対応」(令和6年6月)

更新日:2024年10月8日

ページ番号:52255568

お家ではたくさんお話しているのに、学校など特定の場面では全く喋れなくなる子どもがいます。
一定期間続く場合は「選択性緘黙(かんもく)(場面緘黙)」と呼ばれる症状かもしれません。
緘黙は病気として扱われることがありますが、私は緘黙も発達障害と同じように「特性(≒個性)」であり、
子どもの緊張や自信のなさの現れ、と理解したほうが良いと思っています。

緘黙の子どもに共通してみられる特徴があります
(全員ではないですが、経験上多く見受けられる特徴を挙げています)。
一つ目は親密な関係でない他者や環境の変化に対して緊張しやすく、慣れるのに時間がかかるということです。
二つ目は人前で話したり説明することなどについて自信がないだけでなく、
精密に評価すると言語発達がやや幼くコミュニケーションスキルに課題があることが多いことです。
これらの特徴が家庭での様子からは分かりにくい(緘黙の子の多くが家では多弁です)というのも特徴です。
家庭では安心感があるので臆せず話せるのだと思いますが、子どもの背景には上記の特徴があることを知ってください。
これらの特徴は自閉スペクトラム症の特性と似ています。
「緘黙=自閉スペクトラム症」ではありませんが、合併することは比較的多いとも報告されていますので、
心配があれば医療機関で緘黙だけでなく発達全体を評価してもらってもよいでしょう。

緘黙に対して、まわりはどのように対応するとよいのでしょう。
基本的には話すことを無理強いせず、コミュニケーション面で困らないような見守りが重要です。
筆談などの代替手段を取り入れ、「話せなくても大丈夫だよ。」という姿勢で対応してください。
家庭ではコミュニケーションを楽しんでください。
外で話さない理由を問いつめたり、外でも話すよう促すようなことはしないでください。
学校等で話せなくても「そのままでいい」という姿勢で周りが関わり、
子ども自身も話せないことを恥じたり焦ったりせず過ごせる環境作りが大切です。
大人がお手本を見せるのも良いと思います。
挨拶をしたり、冗談を言い合ったりしている姿を見せてあげてください。
子どもはお手本をよく見ているはずです。
見て学んでいるはずです。
子ども自身が前向きに取り組めそうであれば、言語療法(ST)のような療育経験が有用な場合もあります。

私の経験からは、緘黙の子は「自分のタイミング」で話せるようになっています。
対応で一番大事なことは、本人のタイミングを待ってあげることかもしれません。
親や支援者としては「早く話してほしい」とじれったく感じることと思いますが、
緘黙やその傾向にある子どもの気持ち・特徴を理解し、おおらかに関わっていただければと思います。
 
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