蚊が媒介する感染症「デング熱・チクングニア熱・ジカウイルス感染症」等について
更新日:2025年8月12日
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蚊媒介感染症は、病原体を持っている蚊に刺されることによって感染する疾患ですが、すべての蚊が病原体ウイルスを保有しているわけではありません。
主な蚊媒介感染症の一つであるチクングニア熱については、2025年7月に中華人民共和国(広東省仏山市)での患者急増に伴い、外務省から渡航者向けに注意喚起が行われました。
日本では、日本脳炎以外の蚊媒介感染症は海外からの輸入感染症とみられていますが、2014年にデング熱の国内感染例が報告されました。
日本における媒介蚊はヒトスジシマカで、活動期は5月中旬から10月下旬、冬季には存在しません。
蚊媒介感染症に関しては、日本国内においては有効なワクチンや特異的な治療法がなく、対症療法を行うことになりますので、蚊に刺されないように対策することが重要です。
蚊媒介感染症について(厚生労働省予防啓発ポスター・リーフレット)(外部サイト)
1.主な蚊媒介感染症
デング熱
デング熱は、デングウイルスに感染しておこる急性の熱性感染症です。
ウイルスに感染した患者を蚊が吸血すると、蚊の体内でウイルスが増殖し、その蚊が他の人を吸血することでウイルスが感染します。ヒトからヒトに直接感染する病気ではなく、また感染しても発症しないことが多く、予後は比較的良好な感染症です。
しかし、デング熱患者の一部は、まれに重症化してデング出血熱やデングショック症候群を発症することがあります。この場合、早期に適切な治療が行われなければ死に至ることがあり、2016年には海外から帰国した方が死亡する事例も発生しています。
流行地は熱帯や亜熱帯の全域で、東南アジア、南アジア、中南米で患者の報告が多く、その他アフリカやオーストラリア、南太平洋の島々でも発生しています。
症状
発熱、頭痛、筋肉痛、皮膚の発疹、嘔気・嘔吐など
チクングニア熱
チクングニア熱は、チクングニアウイルスを保有するネッタイシマカやヒトスジシマカなどに刺されることで感染する急性熱性疾患です。潜伏期間は3から12日(通常3から7日)と言われています。
通常は軽症の発疹性熱性疾患であることがほとんどです。
アフリカ、インド洋周辺の島国、インド、東南アジアの熱帯・亜熱帯地域を中心として流行がみられていますが、2025年7月に中華人民共和国(広東省仏山市)での患者急増に伴い、外務省から渡航者向けに注意喚起が行われました。
症状
発熱、関節痛、発疹、全身倦怠感、頭痛、筋肉痛、リンパ節腫脹など
関節痛は急性症状が軽快した後も、数週間から数ヶ月にわたって続く場合があります。
ジカウイルス感染症
ジカウイルス感染症は、ジカウイルスを持った蚊がヒトを吸血することで感染します。感染したヒトから他のヒトに直接感染する病気ではありませんが、輸血や性行為によって感染する場合もあります。また、感染しても全員が発症するわけでなく、無症状か症状が軽いため気付かないこともあります。
ジカウイルスは母体から胎児への感染を起こすことがあり(先天性ジカウイルス感染症)、小頭症などの先天性障害を起こす可能性があります。現在、日本国内での感染は報告されていませんが、アフリカ、中央・南アメリカ、アジア太平洋地域で報告があります。特に、近年は中南米等で流行しています。妊婦さんや妊娠の可能性がある女性は、ジカウイルスが流行している地域への渡航はなるべく避けた方が安全です。
症状
軽度の発熱、発疹、結膜炎、筋肉痛、関節痛、倦怠感、頭痛など
これらの症状は軽く、2~7日続いて治まることがほとんどです。
2.予防方法
蚊を増やさない!
- 水のたまり場所が蚊の幼虫の発生源になります。蚊は水辺に産卵しますので、自宅周辺のバケツや空き缶などの容器にたまった水を捨てるなど、住まい周辺の水たまりをなくしましょう。
- 雨水ますは、目の細かいネットなどを敷いてフタをしておくと蚊の発生を抑えることができます。
- 蚊(ヤブカ類)の防除方法等、詳しくは西宮市環境衛生課(電話:0798-35-0002)にお問い合わせください。
蚊にさされない!
- 蚊に刺されそうな場所では長そで長ズボンを着用するなど、肌の露出を少なくし、裸足でのサンダル履きはなるべく避けましょう。
- 薄手の衣類の上からや、足首、首筋、手の甲など肌の露出が少ない部位でも吸血されることがあるため、虫除け剤を適切に使用しましょう。
- 網戸をしめて屋内への蚊の侵入を防ぎましょう。
- 海外の流行地域に出かける際は、現地において長そで長ズボンを着用するなど肌の露出を少なくし、虫除け剤や蚊取り線香などを使用する等、蚊に刺されないよう予防対策に努めましょう。
3.海外へ渡航される方へ
海外で感染症にかからないようにするために、感染症に関する正しい知識と予防方法を身に付けましょう。
4.流行地域から帰国された方へ
蚊に刺されただけで過分に心配する必要はありませんが、心配な場合は、帰国された際に空港等の検疫所にご相談ください。また、帰国後に心配なことがある場合は保健所にご相談ください。なお、発熱など症状がある場合は医療機関を受診してください。
媒介蚊であるヒトスジシマカは日本のほとんどの地域に生息しています。このため、仮に流行地域でウイルスに感染した発症期の人(日本人帰国者や外国人旅行者)が国内で蚊に刺され、その蚊がたまたま別の人を刺した場合に感染する可能性は低いながらもあり得ます。そのため、流行地域からの帰国者は、症状の有無にかかわらず、少なくとも2週間程度は虫よけ剤の使用など蚊に刺されないための対策に特に注意を払っていただくことを推奨します。